3、イエローストーン・グレイシャー国立公園の旅


6月28日(木)
Salt Lake City(ユタ州)⇒Alpine(ワイオミング州)  走行距離 468キロ


久し振りの都会。モルモン教の都市と言うだけあって、どこを見ても綺麗で、清潔と言う感じがする。早速私達も、総本山、教会、図書館、会館などモルモン教関係の建物が集まっている、モルモン・スクエアーに行ってみる。

無料のツアーがあるらしく、多くの観光客?が集まっていた。独特の黒い服装をした、モルモン教信者がガイドして廻っている。私達は、聖堂に入って、パイプオルガンの演奏を楽しんだ。これだけの広い敷地を管理するだけでも、大変なお金が必要だろうな?・・・と話し合った。

その後、ソルトレイクに行った。MINEが小学校か中学校の 社会の教科書で見た写真、(ソルトレイクに両足を浮かべて本を読んでいる)を、この目で確かめ、出来たらどのくらい塩辛いのか、なめて見たかった。

でも実際に行って驚いた。くさいのだ。それも並みの臭さではなく、息も出来ないくらい。岸に行くと何か小さく、黒いものが一杯飛び立つ。ハエだった。おまけに岸辺を見ると、砂浜の変わりにハエが集まって、黒くなっている。それを見てぞっとして、早々に引き上げてきた。あーあ。夢は破れたり。現実は厳しい!

 



お昼過ぎ、次の目的地グランド・ティトン国立公園に向けて出発。国立公園の入口の町、ジャクソンまで436キロ。これくらいだったら、4〜5時間で行けると計算したのが甘かった。

まず、道がUS−89でフリィーウェイであるが、場所によっては町の中を通るため、スピードが出せず信号も多かった。また、途中でHARUがエンジンオイルを交換しなければならないと言い出し、どこで交換したらいいのか分からず、走りながら探した。

こちらのガスステーションは、フードショップを兼ねているだけで、修理などはやっていないらしい。ようやく修理工場を見つけ 交渉するが、予約があるので30分は待たないとダメらしい。この先大きな町はなさそうなので、仕方なくここでする事にした。1時間かかった。

そういうわけで遅くなり、ユタ州とアイダホ州にまたがっている Bear Lake(右の写真)を見渡す峠に着いたのが、もう5時過ぎ。久し振りに青々とした湖や、樹木の緑を見てホットしたが、まだまだいくつか山越えをしないといけないし、ジャクソンまで170キロもある。HARUは疲れきり、首も肩もこり、腰も痛いと言い出したが、何とかなだめて運転してもらった。(MINEは、バンで100キロ以上も出して走るのは怖い)

7時前、ジャクソンの近くのAlpineという村に着いた。何もない片田舎のモーテルだったが、なぜか気に入りここに決めた。officeのオッチャンはあまりしゃべらないが、気のよさそうな人だった。また今までで、一番安かった。夜9時頃、まだ明るく部屋の前にイスを持って来てビールを飲んでくつろいだ。アメリカに来るまで、銃社会で怖いのでは・・・と思っていたが、少なくとも今まで怖い目にあったことはことはないし、いやな思いをした事もない.。




 

6月29日(金)
Alpine(ワイオミング州)⇒West Yellowstone(モンタナ州) 走行距離 277キロ


目的地のジャクソンまでたった20分。でもジャクソンは 日本並みの観光地で人で一杯だった。おまけに、ガソリンもモーテルの値段もずいぶん高く、私達が昨日とまったところの 2倍の値段もしていた。昨日の所でよかったと思った。6月になってから円安が続き、最近ではUSドル≒125円というありさま。早く円高になって欲しいよ!

グランドティトン国立公園は、映画「シェーン」の背景となった所で、山や川の綺麗なところだ。左手にずっと続く3000メートル級のティトン山脈を見ながら、ジャクソン・ホール・ハイウェイを走った。何ヶ所かあるビューポイントで車を止めて、思い切り深呼吸。西部の赤茶けた山や岩を見てきただけに、白い雪をかぶった山々や、緑の大平原は心を落ち着かせた。

お昼は、ジャクソン・レイクのそばでおにぎりと果物でランチタイム。外で食べるおにぎりの味は格別だ。目の前の湖ではモーターボートやカヤック、カヌーなどで、皆楽しんでいた。私達もレンタルしようかと見ていたら、どうも個人持ちのようだった。

そう言えばアメリカやカナダの田舎では、モーターボートを車で引っ張っているのをよく見るし、夕方にカヌー遊びと言う光景も珍しくない。日本では、身近に手ごろな遊び場があるが、ここでは大自然しかなく、遊びといえばこの類の遊びになるのだろう。それにしても、なんとリッチな遊びなんだろう。

 


グランドティトン国立公園から イエローストーン国立公園の南口まで約30分。イエローストーン国立公園は、四国の半分の広さで、入口も5ヶ所あり 公園内も5ヶ所に区域分けしてありとても広い。

まずはメインの間欠泉、オールド・フェイスフル・ガイザーを目指した。イエローストーンのシンボルになっている有名な間欠泉だ。約65分おきに4万リットルの熱水を、40〜60メートルの高さに噴き上げる。「フェイスフル=忠実な」の名前のとおり、120年間ほとんど一定の噴出時間、間隔、高さを保っているとガイドブックにある。

時間も場所もはっきりしないまま、駐車場に車を止めると、人々が一定の方向に歩いて行くのが見えた。そちらの方だろうとついていくと、多くの人が輪になって座っていた。私達もその輪に加わった。10分後少しずつ噴出し始め、だんだん大きくなってしまいには、大きな噴出となって 空に熱水と真っ白な湯気が立ち上った。約4分間だったが長く感じた。

その後 この周辺の70ほどある間欠泉の 10ほどを見て廻った。どこもそれらしい名前がついていて面白かった。このガイザー・カントリーと呼ばれる区域は、間欠泉や温泉地域で、どこを見ても湯気が立ち、所によっては透き通るようなエメラルドブルーの温泉が見られた。



 




私達の今夜の宿は、公園外のウエストイエローストーンを予定していた。今日は金曜日で、モーテルも早く着かないと一杯になるのでは・・・と不安だった。

公園はワイオミング州だが、ウエストイエローストーンはモンタナ州になる。1時間程走っただろうか?やっと公園外に出た。

ここもいかにも観光地という感じだ。メイン通りを避けて、町の端の方にモーテルを見つけほっとした。

いつも粗食ばかりなので、今夜は豪華に肉料理にしようと ホテルのレストランに入ったが、おいしくなかった。

 

 



6月30日(土)
Yellowstone国立公園(ワイオミング州)  走行距離 282キロ


今日も快晴。相変わらず陽射しはきついが、暑さは西部ほどではない。

今日は残りの4つの区域を廻るため、朝早くから行動した。まずはマンモス・ホットスプリングスの、テラス・マウンテンへ。温泉に含まれる石灰分が蓄積され、それが階段状に積み重なってまるで白いデコレーションケーキのようだ。その上を一段ずつ歩きたかったが、木でトレイルが作られていて、ダメだった。

テラス・マウンテンを上からも見たが、今も温泉が湧き出していて、それが私達の足元を流れて行く。流れが変わるので、1週間も立てば形が変わるとか。こんな風にして、8000年前から作られ、それが今も続いているなんて信じられない。昨日のオールド・フェイスフルといい、イエローストーンでは地球のエネルギーと神秘性を感じた。私達が見ている地球は、あくまで表面に過ぎないと思った。




ルーズベルト・カントリーと呼ばれる大草原を 約1時間走りぬけて、キャニオン・カントリーへ。ここのキャニオン(渓谷)は、38キロにわたって続く黄色の絶壁(写真ではもう一つはっきりしない)。それが イエローストーンの名前の由来とか・・・。

グランド・キャニオンと同じように、ノースリムやサウスリムがあったが、スケールはグランドキャニオンの方が大きい。

その後、レイク・カントリーでイエローストーン・レイクを見て廻った。レイクというより、もう海と言ったほうがぴったりだ。琵琶湖の半分の広さで、海抜2,300mの山岳湖では、アメリカ最大らしい。ここから流れ出たイエローストーン川は、ミズーリ川、ミシシッピ川と合流し、セントルイスやニューオリンズを通ってメキシコ湾へ注ぐと聞いて、気の遠くなる話だと思った。でもアメリカは、それだけ雄大なのだ。



 



帰り道たくさんのバッファロウに出会った。公園の入口でもらったパンフレットに、バッファロウに注意と書いてあったが、こんなにもあちこちで出会うとは思ってもいなかった。

一番驚いたのは、車の真横を通った事だ。怖すぎて写真を撮る事も出来ず、ただ黙って通りすぎるのを祈っていた。

エルクもよく見かけた。とくに朝夕、川のそばの草原でのんびりと、草を食んでいる姿は、雄大だった。

 




 

7月1日(日)
West Yellowstone(モンタナ州)⇒East Glacier(モンタナ州)  走行距離 590キロ



グレイシャー国立公園
を目指して出発。US−191、US−287,US−89とフリーウェーを3回乗り継いだが、田舎道で分かりやすく迷う事もなかった。モンタナ州を南から北へと縦断した訳だが、さすが広大だった。見渡す限りの麦畑、所々にある製粉所。お昼をどこで食べようか、いつものようにマグドかバーガーキングを探していたがなかった。ランチ抜きかなと考えた程だった。

偶然大きな建物を目にし、車が止まっていたので私達もそこへ行った。それはベーカリー(パンや)だった。この写真の左には大きなタンクが3つもある製粉所があり、そこで小麦粉を作り、焼き立てのパンを売っているわけだ。

中に入ると多くの人がいた。これだけの人がどこから来たの?とびっくりするほどだった。久し振りに焼き立てのおいしいバンを食べ満足した。勿論 明日の朝の分も買った。

 




また、麦畑やジャガイモ畑、菜の花畑?(黄色の花が咲いていた)を抜け、どこまで走っても真っ直ぐな道が続く。時速110キロで2時間走っても、すれ違った車はたった4〜5台だけ。青い空、道の両側は、牛、羊等の牧場。ほんとに気持ちがいい。

たまたま 道の端に3頭の馬を見つけ、草を持って近ずくと、その中の1頭が 遠巻きながら寄って来て、少しずつ草を食べ始めた。そのうちあとの2頭も来て、軽く頭をさわらすほどになった。

馬は人の気持ちがわかると 聞いていたが その通りだった。まさに「モンタナの風に吹かれて」の 映画の世界だった。疲れも1度に吹き飛んでしまった。





 

7月2日(月)
Glacier国立公園(モンタナ州)⇒Sandpoint(アイダホ州)  走行距離 438キロ

いよいよ最後の国立公園グレイシャー。ここはアメリカといっても、カナダのアルバータ州に隣接し、公園の北が、カナダのウォータートン・レイク国立公園となっている。カナダが近いと分かりなぜかホットした。

名前からも分かるように、5000年前に出来た約50の小氷河や、多くの湖があり、針葉樹林も多く、雰囲気的にカナディアン・ロッキーとよく似ている。まず東口から入り、トゥーメディスン・レイクへ。

静かで綺麗な湖。観光客も少なく、こんなところだと何時間でもいたくなる。また花も多く見かけ、赤いエフデグサ、ピンクのファイヤーウィード、ペアーグラスなど、名前も覚えた。

 



 



次にゴーイング・ツゥ・ザ・サン・ロードを通リ、約3時間かかって公園を横断。道の左右に次々と雄大な風景が現れてくる。セントメリー・レイクの絵になる風景を しっかり写真に撮り、大陸分水領にある峠、ローガン・パスを目指した。ここでトレイルを歩き、お花畑を見るつもりだった。

ところが、駐車場が満杯で停める所もないので、仕方なく通過。次のビューポイントでマウンテン・ゴートを見ていたが、空きそうにもないので心残りながら、先に進んだ。

氷河によって研ぎ澄まされた山々、車から真上に大空にそびえ立つ氷河を見上げ、所によってその水が流れてきたり・・・と、氷河の作り出した風景を十分楽しんだ。

あとは帰るだけなので 行ける所まで行き、8時頃モーテルを見つけた。初めは、モーテル探しもドキドキだったが、慣れると部屋を見せてもらい、気に入らないと断ることも出来てきた。

 




7月3日(火)
Sandpoint(アイダホ州)⇒Richmond(カナダ)  走行距離 773キロ



今日のモーテルは最高だった。部屋は広く清潔、その上簡単な朝食も出来た。自分でパンを焼き、コーヒーとシリアル類まで付いていた。勿論値段も税金込みで55$、まあまあだ。

安いところはコーヒーだけで部屋も狭い。高いところ(あまり泊まってないが)は、コーヒーとドーナツかマフィンくらい。安いチェーンのモーテル6、モーテル8も利用したが、機能的でどこも同じつくリで殺風景だった。個人のモーテルは、当たりはずれがあるが、いいところは温かみがあり 家のように落ち着いた。

久し振りにゆっくり朝ご飯を食べた。いざ出発。どのルートで帰ろうか迷った。I‐90はメインだが大回りして遠すぎる。US−20はまあまあだが、地図で見ると何も書いてなく面白くなさそう。US−20は山を通りScenic Routeも多く面白そう。時間があれば、ノースカスケード国立公園に寄ってもいい。それになんといっても、距離が一番短い。(でもこれが間違いの元だった。)


 



と言うわけで、山寄りの一番距離の短いルートを選んだ。初めは快調だった。走っている車も少なく、HARUもリラックスして運転できた。ところが山道(ほとんどがNational Forest)でスピードが出せず、思ったように距離が伸びない。おまけに工事が多く、Stopおばさんに止められてばかり。うんざりしてきた

お昼を食べようと地図を見ると、少し先に町の名前があったので、そこにしようと行っても家が4〜5軒だけ。食べるところも、ガス・ステーションもなし。ここの田舎は、家がないところがずっと続き、ぽつん、ぽつんと家が見え始め、ガス・ステーションやモーテルがあって、そこが町の中心。

ちょっとした町なら必ずモーテルがあるのは有難いが、日本のように町並みが続いてないので、どこでもOKという訳にはいかない。

 



そんな調子でワシントン州を横断し、最後のノースカスケード国立公園を通過したのは、6時頃だった。ここは、公園内の道を通るだけだったが、大氷河がどこまでも続いていた。

リッチモンドについたのは、夜の10時過ぎだった。2人とも疲れているはずなのに、アメリカを無事故で走り抜けた満足感と、リッチモンドに帰って来た喜びで、さほど感じなかった。

インターウェーやフリーウェーで、スピード違反で捕まっている車をよく見たし、大型トラックがひっくり返っているのも2回見た。またイエローストーンで、行程が同じでよくすれ違った、インドの家族連れが、交通事故を起こし、うずくまっているのも見た。そんなことを考えると、よく無事で帰ってきたものだ。

総走行距離は、7919キロだった。よく走った。

 

 

   

 

 

inserted by FC2 system