体験住宅は元診療所の医院長宅。隣に立派な診療所があるが今は閉業していて静かだった。周囲は水田や畑が広がり、少し歩けば中央アルプスの山並みが見わたせる素晴らしい所だった。住宅も３LDKで広々としていて、特にリビング・ダイニング・キッチンが明るく日もよく当たり気持ちよく過ごせた。備品も利用者の事を考えていろいろ揃っていた。これで使用料は、シーツクリーニング代１人分１２００円だけというのは申し訳なく思った。

LSC会員のSさんが夏にご家族で利用されたのをFBで知り、長野県のこの地方はあまり知らなかったので早速ネット検索。箕輪町は南アルプス・中央アルプスの眺めも良く、もみじ湖というダム湖には１万本のもみじが植えられ、毎年この時期に紅葉祭りがあることを知り、すぐに申し込んだ。７，８月は予約で一杯だったが、幸いにも１１月初旬は空いていた。
箕輪町は人口2.5万人のほどほどの田舎というように、東西の山際は自然に囲まれた景色のいい地域。JR飯田線沿いの町中は、県道も走り大型ショッピングモールやスーパーもあり、買い物にも便利なところ。どこでも過疎化が問題になっているが、この町は工業関係の事業所が多くあり求人も多く、若い子育て世代の移住者も増えているらしい。

体験住宅から車で１時間弱の諏訪湖と諏訪神社の下社秋宮・春宮へ。全国諏訪神社の総本社である諏訪大社は、諏訪湖を挟んで南の上社、前宮、そして今回行った下社秋宮・春宮の４か所にあると初めて知った。由緒ある大社でどの建物もとても立派だった。また七・五・三の参拝で着飾った親子連れで一杯だった。続いてすぐ近くの「慈雲寺」へ。禅寺らしい風格のある寺院で、苔むした山門に続く石畳や、手入れの行き届いた日本庭園など、これほど美しいお寺はなかなかないと思った。
帰りに諏訪湖畔のレストラン「くらすわ」で遅めのランチ。経営は養命酒酒造とかで、雰囲気よし、味よしのステキなレストランだった。

TVの長野放送でちょうど蓼科高原の黄葉が真っ盛りと知り早速蓼科方面へ行った。まずは女神湖へ。高度が１５００mと高く既に落葉樹が多く残念だったが、冷たい風に吹かれ湖畔沿いを歩き気持ちよかった。次に白樺高原の「夕陽ヶ丘」へ。ここから見下ろすカラマツ林の黄色に染まった世界が目の前に一杯に広がり圧巻だった。
続いてビーナスライン沿いの「女の神展望台」へ。八ヶ岳・南アルプスの山々が見渡せる雄大な景色に感動。途中２０年前に行った「ピラタス蓼科・ペンション村」を思い出しカラマツ林へ。ペンションはもう冬支度で閉業してひっそりしていたが、かえってそれがよかった。ランチで立ち寄ったレストランの周辺の紅葉は落葉となり始め、風に吹かれて舞い散る姿に心を惹かれた。
最後に折角ここまで来たからと、前から行きたかった「御射鹿池（みしゃがいけ）」へ。ここは奥蓼科にひっそりと佇む幻想的な池で、東山魁夷画伯「緑響く」の舞台となったところだが、観光バスも来ていて人が多く残念だった。

今回の旅の目的である紅葉。箕輪ダム（もみじ湖）の周辺には１万本のもみじが植えられていて、１０月下旬から１１月上旬には見ごろを迎える・・・とホームページに書いてあった。今年は暖かく紅葉もまだもう一つかなと思っていたが、実際に行ってみるとその素晴らしさに心を奪われた。特にもみじのトンネルは凄い！見事！の声しか出ず写真を撮りまくった。

翌日担当者のTさんに町の案内をしてもらった。Tさんはまだ若いが気配りも素晴らしく素敵な女性だった。それだけだがなぜかこの町が一度に気に入ってしまった。後日自分たちでゆっくり町をドライブがてら見て回った。こぢんまりした町だが、田舎ののんびりした良さと町の利便性を持ち合わせた、まさに「ほどほどの田舎暮らし」ができる町だと思った。そのうえ出会った人々も親切で感じのいい人が多かった。今まで夏は北海道で過ごしていたが、長野県も近くていいなと思った。