どうして田舎生活か?(2002,5,15)                

オーストラリアのロングステイ延期
 カナダから帰国してはや3ヶ月が過ぎ、この間実家や姉の家、友人宅にお世話になっていた。そろそろ次のロングステイ先を決めようとオーストラリアのリタイアメント(退職者)ビザを調べ始めた。条件さえ満たせば4年間のビザがもらえる有難いものだ。

 その条件とは、@年齢が55歳以上であること Aオーストラリア国内で働く意志がないこと B65万豪ドルの送金可能な資金があること C健康診断書、無犯罪証明書を提出することとある。 問題は65万豪ドル、日本円で約5000万円を送金なんて私達には手も足も出ない金額だ。

 リタイアメントビザがだめなら簡単に取れる3ヶ月の観光ビザでオーストラリアに行くことも考えたが、短期でアパートを借りるのは難しく、その上3ヶ月を過ぎればまた出国しなければならず・・・・ということで、今回はあきらめることにした。
 この間いろいろなところでお世話になったが、やはり自分達の家がないのは落ち着かず、どこか落ち着く家がほしくなった

 旅というものは帰る家があってこそ成り立つもので、寝床を求めての放浪の旅はつらいものだと実感した。私達が住んでいた家は10年間の借家にしてありその家賃が唯一の収入源なので、そこに住むわけにもいかなかった。それに便利な都会よりも自然に囲まれた田舎にのんびりと住み、自給自足の生活をしながらそこを拠点にまた海外に出ることにした。

田舎の家探し
 4月に入って本格的に家探しをはじめた。
条件としては、@田舎の賃貸の古家 A近畿圏内であること B周りに家がないこと C畑が借りられること くらいだった。 
インターネット、田舎暮らしの本、新聞広告などで探したが、信州、伊豆、白浜、琵琶湖周辺の分譲の別荘地が多く、賃貸はあまりなかった。またあったとしても築50年、屋根の修理が必要な古家で場所も岡山県だったりした。
 一度和歌山県加太の古家つきの別荘地を見学に行ったが、海に向かった崖に建てられたプレハブでもうひとつ興味が湧かなかった。

 ある日MINEの姉が、「友人のTさん夫妻の実家が和歌山にあり、空家になっているから貸してもらえるか聞いてあげる」と言い出した。早速電話で聞いてもらうと「住んでもらえたら有難いが10年以上も住んでないから荒れているよ。昔ながらのぽっとん便所水道もないし多分住めないと思う・・・・」 という返事だったが、一応見せてもらうことにした。 

 

古家の下見
4月23日 
 Тさん夫妻と姉、そして私達の5人で和歌山の家を見に行った。 
場所は那賀郡桃山町中畑という所。車で国道24号線の下井坂交差点まで行き、そこから紀ノ川を渡って桃で有名な桃山町を通り抜けくねくねの山道を走ること約1時間。
 集落から離れて山の中にぽつんと1軒の家があった。周りを杉の山で囲まれうぐいすの鳴き声が響きわたり、藤の花がきれいに咲いていたのが印象的だった。

 築45年らしいが屋根瓦も葺き替えてあり、太い柱や梁の昔ながらの家でどっしりした感じがする。
一歩家の中に入ると土間があり湿った感じでひんやりした空気が漂っていた。左手に8畳、6畳、6畳、4.5畳の田の字の4間が続き、右手は納戸。正面は土間の台所で真中にかまどがどっしりと座っている。
 私達が幼かった頃の家そのままでなんとなく懐かしかった。


 この家はTさんのご主人のお母さんが一人で住んでおられたが、80歳代の高齢でTさんの家に引き取られそこで亡くなられたとか。
それから10年。誰も住んでいないので雨漏りがし奥の6畳の部屋は床が落ち畳やたんすがひっくり返ったまま。荷物の整理もしていなく住まれていた当時のままほこりが積もり、散らかし放題でええっ!という感じだった。

 外へ出てみると右手の建物は、牛小屋と物入れだったらしく屋根瓦が落ち今にも壊れそう。葺き替えてあった屋根も裏の見えないところの屋根の梁が腐っていて、そこから雨漏りになり壁も落ちていた。

 水道工事費、床や屋根の修理代がどのくらいかかるか検討もつかないが、出来ることは自分達で修理するということで、借りる方向で進む事にした。 
Tさん夫妻に家賃のことを尋ねると、「住んでもらうだけで有難い。住めるように好きなようにしてください。」という返事だった。  






                                                                            

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