田舎生活の始まり(2002,6,23〜)

 

中畑の紹介 
 桃山町の役場からくねくねの山道を車で走ること約30分、「細野キャンプ場」の近くに20軒程の集落がある。ここがこれから私達が住む村、中畑である。村には簡易郵便局、小さな店が1軒あるのみ、他には何もない。

 Tさんによるとこの店で物を買うときは、賞味期限をよく確かめないとだめらしい。私達はまだ一度も買い物をしたことがないが、ご近所のおばあさん達は車がないので、買い物はいつもここ。大丈夫なのだろうか?

 私達の借りている家は、集落から少し離れた杉山の中にありご近所さんは3軒だけ。それぞれ70歳後半、80歳代の一人暮らしのおばあさんばかり。毎日急な坂道を登り降りし、畑仕事をしておられるので元気だ。若い者が来てくれて賑やかになったと喜んでいてくださる。

 一番お世話になっているのが、Tさんのおじさんでもある辰チャン、こと辰男さん。70歳半ばだが威勢のいい元気なおじさんだ。わからないことは何でも相談しいろいろ教えてもらっている。時々「おい、いるか?」と言って野菜などを持ってきてくださる。有難いことだ。

困っていること、気になること
その1.
 梅雨のシーズンになり毎日雨ばかり。洗濯物が乾かないばかりか一番頭を悩ましているのが、カビの問題だ。新しい畳、押し入れ、台所の隅など通風の悪い所にカビが生えている。ハンガーに吊ってあったHARUのズボンに一面のカビを見つけたときは、ショックだった。家の裏は崖が迫り、水はけも悪くいつも湿気ている感じだ。床下も湿っているのでは?と考えるだけでぞっとする。少しでも晴れれば、窓を開け扇風機を回して空気を動かしているがなかなか追いつかない。家の周りは木ばかりで、雨が降らなくても朝露で木や草が濡れている。それだけ水分が多いということだろう。我慢するしかないのだろうか?

その2
 簡易水道の工事が終わりお風呂も使えるようになったが、水に砂が混ざり気持ちが悪いこと。水道工事の人に何回も来てもらったが、モーターが古いので砂が溜まっているのだろうと言われどうしようもない。今のところ蛇口にガーゼを巻き砂を濾しているがいつまでやらなきゃいけないのか?いやになってしまう。

 一度、姉と姪の家族が泊まり人数が6人になった時、蛇口をひねっても水が出てこないのでびっくりしたことがあった。2人だと1トンの水で2〜3日生活できるのでいつもと同じように使っていたのだが、人数が3倍になったので1日で使ってしまったのだ。それ以後タンクに水が入っているかいつも気にしながら大事に水を使っている

 飲み水は辰チャンとこの井戸水をもらっているので助かっている。高野山系の水なのでとてもおいしく、コーヒーやご飯の味もいっそうおいしい。


その3.
 寝屋川の実家から通っている時によく見たのがゲジゲジ。壁紙を貼っているときぽとんと天井から落ちてきたトカゲ。家の周りでよく見る黒い蛇。家の周りに張りめぐっている蜘蛛の巣。 夜中になると出てくる大きな蜘蛛と可愛い野ねずみ。ブーンとうるさいほどの音を立てて払ってもついてくる大きなアブ。 夜になると出てくるたぬき。まだ見たことはないがいのししもいるそうだ。そのほか名前も知らぬ多くの虫や生き物達。

 自然に囲まれ生活しているのだから当たり前のことなのだろうが、見慣れない私達には気味の悪いこともある。でもこれも徐々に慣れうまく生き物や自然と折り合いをつけて生活しなければならない。家の前に沢がにが多くいたが、私達が生活用水を流すにつれ死体を見るようになった。悪いことをしたと言う気持ちと生きるためには仕方がないと・・・複雑な気持ちだ。出来るだけ自然を汚さないように生活しようと強く思った。


その4
 買い物に行くのにクーラーボックスは必需品だ。近所には1軒しか店がないので、いつも国道24号線沿いにある大型スーパーまで行くが、片道40分もかかる。ちょっとあちこち回っていると買い物だけで3時間もかかり半日仕事だ。日用品や改修工事に必要な道具や材料をそろえるのにここでは品数も少なく、思うような物がないのでつい堺まで買いに行ってしまう。値段も安く種類も豊富なのはやはり都会だな。


新聞配達のこと
 7月から新聞を取り始めようとしたが都会のように勧誘に来るわけじゃなし、ハローページで調べて一番近い販売店に電話で申し込んだ。一番近いと言っても役場の近くで車で30分はかかる。毎朝3時半頃ライトをつけた軽自動車で配達してくれるのだが、近所の3人のおばあさん達は新聞をとってないので、うちの家だけのため?と気になった。

 あとで知ったことだが、その販売店は辰チャンの娘さんの嫁ぎ先で、辰チャンとこも同じ新聞とわかりほっとした。それにしてもたった数軒のためにあんなくねくね道を30分もかけて配達してくれるなんて、いくら仕事とはいえ有難くて申し訳ない気持ちで一杯だ。冬になれば道も凍結するしますます大変だ。


みんなが知っている私達のこと?
 プロパンガスの開栓に農協のお兄さんに来てもらい、この家を借りていること、夏の間だけ住むこと等少しだけ話をした。そしてガス代の支払い用に農協に口座を作りに行った。すると金融担当の人は私達のことを知っているらしく、「別荘代わりに住まれるのですね。」と言われびっくりした。家から農協まで30分もかかりすごく離れているのに、どうして私達のことを知っているのか不思議で仕方ない。

 中畑に来る途中に黒川と言う集落があり、そこの郵便局で口座を作った。住所と名前を書くと物知り顔でいろいろ話しかけられた。私達が借りているTさんの弟さんのお嫁さんの実家だった。びっくりした。

 村の中をまだ歩いたことはないが、小さな村のことみんな私達のことを知っていて興味津々で見ているに違いない。車で通る時でも目が合えば、挨拶したり頭を下げることにしている。都会以上に気を使うこと。

 


   

  

 

 

inserted by FC2 system